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氷川清話

氷川清話 (講談社学術文庫)

「今日は実に上下一致して、東洋のために、百年の計を講じなくてはならぬときで、国家問題とは実にこのことだ」。
 おれも国家問題のために群議をしりぞけて、あのとき徳川300年を棒にふることを決意した。そのくらいの度量でなければ国家はつくれない。ただ、これからは日本のことだけを考えていても、日本の国家のためにはならない。よく諸外国との関係を見ることだ。そのばあい、最も注意すべきなのが支那との関係で、すでに日清戦争でわかったように、支那を懲らしめたいと思うのは、絶対に日本の利益にならないということだ。
 そんなことは最初からわかっていたことなのに、どうも歯止めがきかなくなった。これはいけない。支那は国家ではない。あれは人民の社会なのだ。モンゴルが来ようとロシアが来ようと、膠州湾が誰の手にわたろうと、全体としての人民の社会が満足できればいいのである。そんなところを相手に国家の正義をふりまわしても、通じない。これからは、その支那のこともよく考えて東洋の中の日本というものをつくっていくべきだ。

まだ読んではないんだけれど、昨今の龍馬ブームで勝海舟もまた人気が出てきている。その勝海舟は明治32年まで生きていて、いわゆる維新を最初から最後まで見届けた人物だから、いろんな人が話を聞きに来たという。
そんな時の談話がまとめられたのがこの「氷川清話」だ。

政治的に色々と策略されつくした今の時勢よりも、当時のまだ未発達な状態での時勢の方が色々とわかることも多いだろうと思う。また筒抜けであったこともあったろう。
日本がまだ未発達であったと言う事でいろんな人が外国に行き、その地での勉強をし情報を得て日本に戻ってくる。そういう人材は知識人として権力のある人に雇用される。今でもそういうのは変わりなくあるんだろうと思うけれど、これだけ情報が散乱している時勢では誰でもが情報を得ることもでき、またその情報が間違っていることも多い。間違っているかどうかは昔もそうだったろうけれども、今よりは統制されていないわけなんだから筒抜けであったものも多いはずだ。
海舟が書く(あるいは言う)端々には今でも通用するようなことがたくさんあったりもする。上で引用した内容も、中国なんか国として相手にするなというのは「なるほど」思わせられることもある。

海舟は軍艦奉行であり、(幕軍の)陸軍総裁にもなり、維新後は外務大丞、兵部大丞、参議兼海軍卿、元老院議官、枢密顧問官を歴任し伯爵を授予された。横浜港の発展や、静岡茶を日本一にさせたのも勝海舟の功績と言うから驚きだ。脳溢血で倒れ、最後の一言となったのが「コレデオシマイ」というのも勝海舟らしいエピソードである。

龍馬は今、驚くべきブームを迎え多くの人が京都に来たり高知県に足を運ばせつつ、さらにはTVで福山龍馬を見てうっとりとしているという。龍馬伝といいながら龍馬のことよりもそのまわりの人のことがボリュームがあるように思うのは僕だけだろうか。確かに龍馬はどこにでも絡んでくるけれども、岩崎弥太郎であったり武知半平太であったり関係が多いと思うんだ。いろんな説があって、様々な見方ができるけれども実際の所、龍馬は自らの力で何かを動かすと言うよりは、力のあるモノに取り入る術に優れ、優秀な人材が周りにいたこともあり、その知識と人脈で事を成し遂げたというのが正しいように最近思うようになった。

脱藩した下級藩士に何ができよう。例えば、何のコネもない人材がひょこっと選挙に出て日本を造り替えることなんかはできない。しかし、政治に参加しようとする人と何かしらのコネクションを作り、その人をうまく使いながら事を成し遂げようとするなら話はまた変わってくると思う。
その昔、武将達は天皇を利用してその力を得ていったように、旗頭となるものは別に力なんかなくても良いと思うわけだ。だいたいトップに立つモノが頭の切れるやり手であった場合はその手下はやりにくいことこの上ない。民主党の小澤さんが頭が切れるかどうかは知らないが、あんなのが君臨してたら手下は自分のやりたいことができない。そりゃ鳩山君が首相になるのはわかる気がするよね。

徳川家康が優れていたのは、自分がトップに登りつめた後、その後のことを考慮して様々な仕組みを作ったことにあると思う。これは信長ではムリだったかも知れない。

僕が今思っているのはハマコーが死ぬ前に色々と聞いておけと言う事だ。白も黒も全部言えるのはたぶんあの男とあと数人だろうと思う。言い過ぎだろうけれど、海舟の位置にあるんじゃないかなぁとも思う。
だいたいのところ、もし時代が間違っている場合はそれを正すような人材が出てくるのが常であるから、今そう言う人物が表に立っていないと言う事はまだそういう時期ではないのだろうね。

 
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